2023年9月6日にNectarの最新バージョン「Nectar 4」がリリースされました!
AIを取り入れたボーカルアシスタント機能、ミックスしているボーカルの質感をリファレンスにしているボーカルへ近づけるのに役立つトーンマッチ機能、擬似的なバックコーラス生成など新たな機能を備えてパワーアップしています。
iZotope「Nectar」シリーズはAIアシスタントを搭載したボーカルミックスプラグインです。
現在は「Nectar 3」へとバージョンを重ね、さらに高機能なプラグインとなりました。
上位版の「Nectar 3 Plus」では、ボーカルトラックのコンプレッション、ディエッサー、EQ、ハーモニー生成、バックトラックとのかぶりを解消してボーカルを聴きやすくする機能などを搭載。
さらにピッチ補正ソフトの代名詞「Melodyne5 Essential」も付属しています。
「Nectar 3」は、ボーカルミックスに必要な処理をまとめて行える便利機能が満載。
ボーカルミックスに慣れていない人でも作業を進められるエフェクトが充実しています。
- ボーカルのミックスがよくわからない
- 短時間で適切なボーカルミックスをしたい
- ミックスの中でボーカルの抜けを良くしたい
- 簡易的なピッチ補正がしたい
- 簡易的なハーモニーを作りたい
- 簡単に歯擦音の処理を済ませたい
Nectar 3のラインナップ・価格
Nectar 3の現在のラインナップは、
- Nectar 3 Plus:上位版(メーカー価格¥34,300)
- Nectar Elements:エントリー版(メーカー価格¥17,800)
という2つが用意されています。
Nectar 3 Plus:上位版
Nectar 3 Plusは、Nectar 3の機能を全て備えた上位版です。
A.I.を使ったVocal Assistant機能やボーカル処理のミックスエフェクト、他のトラックとのかぶりを調整するUnmask Modeからハーモニー生成などボーカルミックスに必要な処理がまとめて行える機能を備えています。
さらにNectar 3の機能に加えてMelodyne 5 essential(ピッチ補正)や、RX 8 Breath Control(息継ぎの音量を自動で調整する)といったプラグインが付属しているので、本格的なボーカルミックスをするならNectar 3 Plusを選ぶのがおすすめ。
Melodyne 5 Essentialを単体で購入しようと検討しているなら、「Nectar 3 Plus」を購入する方が結果的にお得かもしれません。
Nectar Elements:エントリー版
Nectar Elementsは「Nectar 3 Plus」に備わっているいくつかの機能を搭載したエントリーバージョンです。
シンプルなボーカル処理を行う3つのMixingモードを備えたVocal Assistant機能に加えて、ピッチモジュール、コンプレッション、リバーブ、ディエッサーを搭載しています。
Nectar 3 Plusのように多機能ではありませんが、基本的なイコライジング、コンプレッション、歯擦音の処理ができるので、簡易的なボーカルミックスをしたい人におすすめ。
「Nectar Elements」ができること・機能は下記のページで特集しているので併せてチェックしてみてください。
Nectar 3 Plusの特徴
Nectar 3 Plusはボーカル処理に必要な、
- ボーカルのダイナミクス処理、イコライジング、歯擦音の処理
- リバーブやサチュレーターなどボーカルの色付け
- ピッチ補正モジュールやハーモニー生成機能
といった機能を搭載。
さらに適切なボーカルミックスに仕上げるためのサポート機能「Vocal Assistant」を搭載しています。
Vocal Assistantは適切なコンプレッションやイコライジング、歯擦音の処理だけでなく、バックトラックの中でボーカルトラックとのマスキングを解消してくれる「Vocal Assistant: Unmask」も搭載。
ベーシックなボーカル処理だけでなく、トラックの中でボーカルの聴こえを良くしたり、抜けの良いミックスに仕上げるためのツールとして活躍してくれます。
主な機能
- Auto Level Mode:入力レベルを自動で調整してくれる
- Vocal Assistant: Unmask:Nectar 3 PlusやiZotopeの「Relay」「Neutron 4 Advanced」を活用したマスキング解消機能
- Vocal Assistant:ボーカル処理の起点となるイコライジングやコンプレッション、歯擦音の処理をしてくれる機能
- Pitch Module with Key Detection:指定したキーに合わせたピッチ補正機能、音域の自動検出も搭載
- Follow EQ:問題となっている周波数をリアルタイムに処理
- Dimension:コーラス・フランジャー・フェイザーエフェクト
- Harmony:ボーカルの音域に合わせた補足的なハーモニー
- Compressor:2つの圧縮モジュールを使ってボーカルのダイナミクスを処理
- De-Esser:ボーカルの歯擦音を処理
- Delay・Reverb:ボーカルの空間処理
- Saturation:ボーカルに温かみや倍音をプラスして存在感を高める効果
Auto Level Mode
Auto Level Modeは入力レベルを自動で調整してくれる機能です。
UIのレベルメーター左上部にボタンが用意されていて、Auto Level Modeをオンにすると、ボーカルのRMS値を中心にプラスマイナス3dBの範囲で自動的にボリュームを上下させて音量差を減らします。
音量差が少ないことで、ボーカル全体のパフォーマンスを均一化し、不要なEQやコンプレッサー動作を避けて適切なイコライジングやコンプレッションが行えます。
オートメーションで処理しても良いですが、短時間でボーカルミックスを済ませたい時に活躍してくれる非常に使い勝手の良い機能です。
Vocal Assistant
Vocal AssistantはiZotopeの特徴でもあるAIによるボーカルミックスをサポートする機能です。
ボーカルミックスの基本である、イコライジングやコンプレッション、ディエッサー処理などをAIがボーカルを解析してエフェクトをかけてくれます。
ボーカルはダイナミクスの差が激しいので、全てこれでOKになるわけではありませんが、ボーカルトラックの質に合わせた処理はミックスの起点となるので、アシスタントを使用してから立ち上がっている各モジュールの調整をすることで、ミックスの時短になります。
Vocal Assistant Unmask
Vocal Assistant: UnmaskはNectar 3 Plusの他にiZotopeのトラック管理プラグインの「Relay」とミックスプラグインの「Neutron 4 Advanced」を活用したマスキング(周波数の被り)を解消するための機能です。
マスキング調整をしたいトラックに「Relay」か「Neutron 4 Advanced」を立ち上げた状態で、Vocal AssistantのUnmaskを選択することで、トラック間を解析して、ボーカルと被っている他トラックの帯域を抑えてボーカルを聴きやすく調整してくれます。
Nectar 3 Plusになって、EQ画面でマスキングの調整の度合いの調整やイコライジングによる他のパートへの影響を減らすために、ボーカルが鳴っている時にアンマスク処理が適用されるように変更されています。
Pitch Module with Key Detection
Pitch(Module with Key Detection)は指定したスケールに合わせてボーカルのピッチを補正する機能です。
ボーカルの音域を自動的に検出して3つのキー候補を提示してくれるので、そこから最も合ったキー選択するか、楽曲に合わせて手動で設定することもできます。
Follow EQ
Follow EQはボーカルトラックの中で問題となる周波数をリアルタイムでイコライジング処理してくれる機能です。
音域の広いボーカルトラックの中で適切なイコライジングをするのに役立ちます。
Harmony
Harmonyはボーカルの音域に合わせたハーモニーを補足的に追加できる機能です。
De-Esser
De-Esserはボーカルに含まれる歯擦音を処理する機能です。
スペクトラムアナライザーが表示されるので、De-Esserを適用する周波数の変化が目で確認できて便利。
Dimension
Dimensionはコーラス、フランジャー、フェイザーを備えたモジュールです。
ボーカルをトラックに馴染ませたり、コーラスワークでステレオ感を加えるモジュレーションエフェクトがかけられます。
Compressor
Compressorはボーカルのダイナミクスを調整するための2つのコンプモジュールを搭載しています。
Neutron4やOzone9と同様にスペクトラムアナライザーを確認しながらスレッショルド位置を決定できて、コンプがかかっている量も目視で確認できてわかりやすいです。
gate
gateボーカルの不要なブレスやノイズ、余韻部分をカットするためのモジュールです。
一定レベルの範囲にある音は通過して鳴りますが、設定レベル以下の音を抑えます。
Delay・Reverb
ボーカルの空間処理に活躍するモジュールです。
どちらも不要な帯域にディレイやリバーブがかかるのを抑えられるフィルターが搭載されています。
Saturation
Saturationはサウンドに倍音を付加して抜けを良くしたり、存在感を高めるのに役立つプラグインです。
Nectar 3 Plusの使い方
Nectar 3 Plusの使い方は非常にシンプル。
Vocal Assistant機能を使ってボーカルミックスの時短をしたり、ボーカルミックスに必要なエフェクトも搭載されているので、1から自分で調整してもOK。
- ボーカルトラックにNectar 3 Plusを挿す
- Vocal Assistantでトラックを解析してミックスの起点となる処理をしてもらう
- 各モジュールを調整して好みのサウンドに仕上げる
プリセットも豊富に用意されているので、Vocal Assistantを使わなくてもイメージしたモジュールの組み合わせを使ってボーカル処理もできます。
こちらでは使用頻度の高い機能の使い方を紹介します。
Vocal Assistantの使い方
Vocal Assistantは、ボーカルトラックにNectar 3 Plusを立ち上げてVocal Assistantボタンを押すことでAIがトラックを解析してボーカル処理をしてくれます。
Vocal Assistantはダイナミクスが大きくなるサビで適用してから、AメロやBメロをチェックしながら微調整をするのがおすすめです。
Vocal Assistant Unmaskの使い方
ボーカルトラックと被りが気になるトラックやバックトラックの各バスチャンネルにNectar 3 PlusやRelay、Neutron 4 Advancedを立ち上げておくとVocal Assistant Unmaskが使えます。
- ボーカルトラックと被り調整をしたいトラックにNectar 3 Plus、Relay、Neutron 4 Advancedのいずれかを挿す
- 上記プラグインを対象トラックに挿したらVocal Assistantボタンを押してUnmaskをクリックしてNEXTボタンをクリック
- Unmaskを適用したいトラックに挿したNectar 3 Plus、Relay、Neutron 4 Advancedを選択してNEXTを押すと対象のトラックにEQが適用されます。
Nectar 3 Plus、Relay、Neutron 4 Advancedは各トラックのインサートエフェクトの最終段に挿しましょう。
Pitch(ピッチ補正)の使い方
Pitchはボーカルの音域とスケールを決定することで、スケールに合わせたピッチ補正を施してくれるモジュールです。
- VOCAL REGISTERで音域を高い、低い、中間から選択
- ピッチを補正するスケールを選択(キーとメジャー、マイナー、クロマチックから選択)もしくはカスタムで歌で使用される音を指定できる
- Pitch Correctionボタンを押す
- Strengthでピッチ補正の強さを調整
- Speedでピッチ補正の適用速度を調整
Strengthは上げすぎるとビブラートまで補正がかかって不自然になる場合があるので、ノブを動かして自然な位置を見つけましょう。
Speedを最小にするといわゆるケロケロボイスのような質感になります。自然な補正をするなら、早すぎず自然なポイントを見つけるのがおすすめです。
フォルマントシフトが搭載されているので声質の調整ができます。音域が広い歌の場合に自然な補正をする時に有効です。
個別のノートを調整したい場合にはNectar 3 Plusに同梱されている「Melodyne Essential」を使ってピッチ補正やタイミング補正をしてからPitchを使うとより正確なピッチ補正が施せます。
お得に購入できるバンドル版
「Nectar 3 Plus」には、他の製品とセットになったお得なバンドル版があります。
「Vocal Bundle」
「Vocal Bundle」は「Nectar 3 Plus」に加え、ボーカルにエフェクトを施せる「VocalSynth 2」がセットになった「Vocal Bundle」は、それぞれを単体で購入するよりも大幅に安く購入できます。
・「Nectar 3 Plus」通常価格34,300円(税込)
・「VocalSynth 2」通常価格27,500円(税込)
個別に購入した場合の合計価格:51,810円(税込)
・バンドル版「Vocal Bundle」:41,200円(税込)
>> 販売ページ
※日本円価格は為替変動の影響により、掲載時と異なる場合があります。最新の価格はセールページでご確認ください。
システム環境
【Mac】
- Mac: macOS High Sierra (10.13.6) – macOS Big Sur (11.6)* Intel Macのみ対応済(ARM非対応)
- AAX, AU, VST2, VST3(すべての形式は64ビットのみ)
【Windows】
- Windows 10
- AAX, VST2, VST3(すべての形式は64ビットのみ)
Nectar 3まとめ
iZotope「Nectar 3」は、Ozone 9やNeutron 4と同様にAIによるアシスタント機能がミックスやプラグインに詳しくない人に対して、とにかく優しいプラグインです。
上位版のNectar 3 Plusならアシスタント機能を起点に自分好みに細かな処理ができるので、短時間でクオリティの高いボーカルミックスが行えます。
また、エントリー版のNectar Elementsでも、アシスタント機能が搭載されているので、ミックスに詳しくない歌い手さんが自分の声をサっとオケに馴染ませたいという時にも大活躍してくれます。
Nectar 3はプロ・アマ問わず幅広いクリエイターに使用されています。ボーカルミックスをする上で持っていて損は無いプラグインなので、お得な期間を狙ってゲットしましょう!
この他のiZotope製プラグインは、それぞれ下記のページで取り上げているのであわせてチェックしてみてください。
【画像出典】izotope.com