PulsarAudio「PRIMAVERA」は、スプリングリバーブの名機6機種をモデリングしたリバーブプラグインです。
「Mu」「Pulsar1178」を始め、エンジニア・作曲家高い評価を受けているプラグインを発表してきたPulsar Audioがずいぶんとマニアックなエリアを攻めるなと感じてしまいましたが、いざ使ってみると改めてスプリングリバーブ自体の魅力を実感させてくれる素晴らしいプラグインでした。
50~70年代に隆盛を極め、以後数多くの名曲で使われてきたスプリングリバーブの名機は、特徴的かつ温かみのあるトーンが魅力。
現代では非常に希少となってしまったクラシックなスプリングリバーブであるため、実機で手に入れるのが非常に困難であることに加え、取引されている価格も非常に高額です。
「PRIMAVERA」は、手が届かないものになりつつある名機のスプリングリバーブのトーンを再現してくれるリバーブプラグインとなっています。
Primaveraのセール情報
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ショップ名 | 各ショップの販売価格 |
---|---|
Plugin Fox | $89(日本円で約13,830円) |
プラグインブティック | $42.9(日本円で約6,666円) +特典あり |
Primaveraの特徴
Pulsar Primaveraが再現したリバーブ機器は全部6種類。オリジナルユニットの電子的&機械的な挙動まで忠実に再現されています。
さらに「Primavera」独自のスプリングテンション、エキサイテーションコントロールによるサウンドも再現。
スプリングリバーブを使いたいときにはまず「Primavera」を選択、というくらい定番になるかもしれません。
「Primavera」の特徴を掘り下げる前に、そもそもスプリングリバーブとは何か?について少しだけ触れておきます。
スプリングリバーブとは?
スプリングリバーブは、まさにスプリング(バネ)を使って得るリバーブの種類です。スプリングに音を伝達させ、振動させることで残響を得ます。プレートリバーブと原理は同じですが、プレートリバーブよりも残響音が個性的なリバーブとして分類されます。クセが強めと言ってもいいかもしれません。
下記の動画ではスプリングリバーブの原理について触れられるので、まずは少しだけでもチェックしてみてください。
スプリングリバーブは主にギターに使用されることが多いエフェクトで、Fenderのギターアンプの一部のモデルに内蔵されていることもあり、ギタリストにとっては馴染みのあるリバーブかもしれません。
「Primavera」はギターに使用するだけでなく、シンセやエレピ、ボーカル、ドラムなど様々な楽器に使用してもOK。
スプリングリバーブ特有のサウンドを加えた音作りが行えます。
スプリングノイズまで精巧に表現可能
「Primavera」は、細部に渡って非常に細かなカスタマイズが可能。まさにスプリングリバーブそのものを操るような自由度の高さを持っています。
UIの上部に見えるのは、まさに先ほど紹介した動画に出てくるスプリング部分です。
このスプリング部分をマウスでクリックすると、実際にバネを触ったようなスプリングノイズを発生させられます。これはギターアンプ内蔵のスプリングリバーブでも聞き覚えのある「ピチュン」という音で、ギタリストがブルージーな楽曲を演奏している際にフレーズ間で聞こえてくるあのノイズです。
スプリング部分の細かなカスタマイズが可能
UIの中央エリアにある各パラメーターの中の「TENSION」ノブでは、スプリングの張りの強さを調整でき、「EXCITATION」ノブでは、スプリングの暴れ具合を調整できます。
この他の中央パネルにあるノブは以下のような調整ができます。
PREDELAY
原音と、リバーブの開始音との遅延を調整できるノブです。数値を高く設定するほど原音とリバーブ音の分離が強調されます。
DECAY
全体のリバーブタイムを調整できるノブです。0に設定すると短く、10に近づくほど長いリバーブタイムが設定されます。
WIDTH
リバーブのステレオイメージ幅を調整できます。0はリバーブがモノラルになり、10に設定すると最大のワイド感になります。
※Twangモードの場合はモノラルのみの設定になるため、UI上部に配置されている「MONO」のLEDランプが点灯します。
Preampセクション
UIの左側にあるプリアンプセクションの使用方法及び役割は下記の通りです。
Drive
インプットプリアンプによるゲインレベルを設定するノブです。10に近づくほど歪みが強調され、高域の飽和感を強調する真空管回路の質感を調整できます。
また、このノブでの設定値はプリアンプ後のアウトプットで補正され、音量レベルに大きな変化を発生させずに歪みを加えられます。
Light bulb
Primaveraに入力される信号レベルとドライブ量によるレベルが表示されます。ランプが明るく光るほどリバーブがかかる前段階で歪みの影響を受けていることを表します。
Tube/Ger
TubeとGer(Germanium)のトグルでは、リバーブのテールに硬い印象を加えたいときに使用します。
TubeサチュレーションモードとGermaniumがあり、Germaniumはダブミュージックなどで使用されるリバーブのトランジスタプリアンプ系の質感で、Tubeは温かみのある5極管タイプの真空管アンプの質感です。
High-pass / Low-pass
プリアンプ部の後のハイパス、ローパスを調整できます。最小値の状態では非アクティブ状態になります。
Outputセクション
Outputセクションには「DUCKING」「MIX」「PRESENCE」「VOLUME」の4つのコントロールノブがあります。
それぞれの役割は以下の通りです。
DUCKING
原音が鳴っているときに、リバーブ音を下げるコンプレッサーを稼働させる度合いを設定します。例えば、Primaveraをボーカルに適用した際、リバーブ音が原音の邪魔してボーカル自体を聞きにくくするのを避けるために働いてくれます。
ボーカルが鳴っているときには、コンプレッサーでリバーブのレベルを抑え込み、歌の語尾で自然にリバーブ音がフェードインしてくるので、歌をしっかり聞かせながらもリバーブテイルを感じられる設定ができます。
External Sidechain
DUCKINGノブの左上にある「Extボタン」は、ダッキングのトリガーとなる信号がメインの信号か、他のトラックの信号化を選択するために使用します。ONにして他のトラックをトリガーに指定することで、他のトラックをしっかり聞かせながらPrimaveraのリバーブ音をダッキングできます。
MIX
原音とリバーブ音のブレンド量を調整できます。「Verb」の方向に回すと完全なリバーブ音となり、「Pre」に回すとプリアンプセクション後の音となります。
「Pre」に回しきるとリバーブセクションで設定したエフェクトは適用されなくなり、Preampセクションで設定されたサウンドが発音されます。Preampセクションで設定したディストーションのみを使いたいときにおすすめです。
Presence
「Presence」のノブは、リバーブ成分の中高音域を強調できます。10に近づけるほど高音域が強まり、リバーブの音色がミックス全体を少しだけカットする仕組みになっています。
Volume
Mixノブで設定した数値に応じて原音とブレンド前のリバーブ音量をコントロールできます。±12 dBで調整可能。
Primaveraに搭載されている6種類のリバーブタイプ
UI中央の下部にある6つのボタンは、収録されている6種類のスプリングリバーブのタイプを選択できます。
収録されている各タイプは下記の6種類です。
- TWANG
- HR12
- SR202
- TUBBY
- RE201
- GBS
UIからも見てわかる通り、左のあるものはLofi寄りで右に配置されているものはHi-Fi寄りとなっています。
TWANG
「Twang」は、名称から予測するとFender「Twin Reverb」のリバーブをモデリングしたものと予想できます。
実際、音も「Twin Reverb」のリバーブに近いです。いわゆるスプリングリバーブと言えばこの音、というイメージが強いモードです。
HR12
「HR12」は60年代後半~70年代に製造され人気を博したと言われている日本製のリバーブ「Hawk HR-12」をモデリングしたものと予想できます。
非常に古いハードウェアをモデリングしたこともあってか、アタック感が強いサウンドキャラクターです。原音の低音域が大幅にカットされる傾向のモードとなっています。
ちなみに実機のサウンドが確認できる動画があったので下記に掲載しておきます。
SR202
名称から察すると「Pioneer SR-202」をモデリングしたモードだと思います。実機をどこまで再現しているのか不明ですが、ハイファイとは言えないサウンドキャラクターで、当時のPioneerはどういう意図を持っていたのか不思議に思えてきます。
「Primavera」のモードの中で、リバーブテールの密度が最も低いモードの一つです。
Tubby
70年代にダブ、レゲエの先駆者的として名を馳せたOsbourne Ruddock・King Tubby氏が所有していたスプリングリバーブをモデリングしたものかと思います。King Tubby氏が所有していたスプリングリバーブはFairchildのスプリングリバーブを改造したものと言われ、彼の曲でそのサウンドが確認できます。
RE201
Roland の「RE-201 Tape echo」 をモデリングしたと思われるサウンドで、ハイファイ寄りので使いやすいキャラクターのモードです。深みとやわらかさを感じる質感で、フラッターが少ないことも特徴です。
再現されているプラグインも多いので、多くの人にとって聞き慣れた音だと思います。
GBS
モデルとなっているGBS(Great British Spring)は、プラスチックドレーンパイプにAccutronics社のスプリングタンクを収めて作られたスプリングリバーブです。1970年代のリバーブですが、6つのモードの中で最もクリーンなサウンドでボーカルなどへの使用もおすすめ。クリアで緻密なリバーブテールが特徴です。
デモプレイ
Walkthroughビデオ
今となってはほぼ手に入れられないスプリングリバーブの名機のサウンドも再現した素晴らしいプラグインだと思いました。
実機の音は往年のアーティストの楽曲でしか聞いたことがありませんでしたが、「Primavera」はそれらの楽曲の質感を限りなく近い雰囲気に寄せられるなと実感。
特に、ダブやレゲエ、ブルース系のニュアンスを出したいときは必須だと思います。
スプリングリバーブの良さを改めて再確認できると思うので是非体験してみてください!
仕様・プラグイン動作条件
【Mac】
MacOS 10.9 and higher (M1 Apple Silicon supported) (64-bit only)
CPU: Intel Core i3 / i5 / i7 / Xeon / Apple Silicon (M1)
Memory: 4 GB RAM / 1 GB free disk space
【Windows】
Windows 7 with SP1 64 bit / Windows 8.1 64 bit / Windows 10 64 bit
CPU: Intel Core i3 / i5 / i7 / i9 / Xeon or AMD Quad-Core minimum
Memory: 4 GB RAM / 1 GB free disk space
【プラグインフォーマット】
AAX Native
Audio Unit (AU)
VST 2.4
VST 3
販売ショップ・購入ページ
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