2023年9月6日にNectarの最新バージョン「Nectar 4」がリリースされました!
AIを取り入れたボーカルアシスタント機能、ミックスしているボーカルの質感をリファレンスにしているボーカルへ近づけるのに役立つトーンマッチ機能、擬似的なバックコーラス生成など新たな機能を備えてパワーアップしています。
この記事ではNectar Elementsに関する情報をお伝えしています。
iZotopeの「Nectar Elements」は、ボーカルミックスにおける必要な処理を自動で設定してくれるミックスアシストプラグインです。
「Nectar」には「Elements版」よりもエフェクトの種類や機能強化されている上位版「Nectar 3 Plus」もありますが「Nectar Elements」だけでも基本的なボーカルミックスは可能。
ピッチ補正・明瞭度・ディエッシング・ダイナミクス・トーン補正・広がり&奥行き(リバーブ感)をそれぞれ調節し、聞きやすいボーカルトラックに仕上げてくれます。
また、リードボーカル用の設定だけでなく、バッキングボーカルに適した設定や、ラジオボイス加工なども可能。
さらには会話・ナレーションのオーディオ素材の処理に適した「ダイアログモード」での加工もできます。
「Nectar Elements」だけでボーカルミックスにおける基本的な処理を自動的に行えるのが最大の魅力です。
- 適切なボーカルミックスを素早く行いたい
- ボーカルミックスにどんなエフェクトを使ったら良いかわからない
- ミックスアシスタント機能があるプラグインを探している
上位版「Nectar 3 Plus」の詳細は下記のページで特集しています。
Nectar Elements
- 機械学習による最適なボーカル処理を提案してくれるVocal Assistant機能
- 6つのエフェクト処理で聞き映えの良いボーカルトラックに仕上げてくれる
- モダン/ヴィンテージ/ダイアログの3つのモードから用途に合わせた仕上がりの選択が可能
- スケーリングコントロールにより、6つのエフェクトの適用量を変更可能。好みの仕上がりに近づけられる
「Nectar Elements」のボーカルアシスタントを使用することで、ボーカルトラックを分析しバックトラックに適応する処理を施してくれるのが最大の特徴です。
「Nectar Elements」に搭載されているプロセッシングでは下記の6つの処理を行ってくれます。
Nectar Elementsができること
Nectar Elementsの処理は、大きく分けて「CLEAN UP」と「POLISH」の2つ処理があり、全部で6種類の処理を適用させられます。
「CLEAN UP」ではボーカルの適切なオーディオデータに処理し、「POLISH」ではボーカルトラックに磨きをかける、という行程になります。
【1】Pitch(ピッチ補正)
微妙な音程のズレを補正します。フェーダーを調整することで、ボーカルトラックに適用されるピッチ補正の分量を調整可能。
0に設定するとピッチ補正は適用されません。
【2】Clarity(不要な成分のカット)
ボーカルトラックに含まれている「不要と分析された帯域」をカットします。
主に中音域を減衰させ、クリアな響きに導いてくれる工程です。
フェーダーを調整することで減衰されている帯域に適用される処理のゲインを増減させられます。
【3】De-ess(ディエッシング)
ボーカルトラックに含まれる「サ行」の耳障りな成分を抑制してくれます。
フェーダーでは歯擦音除去のスレッショルドレベルを調整可能です。
【4】DYNAMICS(コンプレッシング)
箇所によって大きく聞こえる部分は圧縮して抑え、小さくて聞こえない部分は引き上げるCompressorの役割を担ってくれます。
フェーダーでは、このコンプレッサーのThresholdレベルを調整が可能。
上げるとコンプレッションが強くかかります。
【5】Tone(音色の調整)
Toneは全体的な音色を決めるためのセクションです。
フェーダーを上げることでモダン(現代的)な響きに近づけられ、明るめの印象のサウンドになります。
フェーダーを0にすると収録したボーカルの状態のトーンを残す形となります。
【6】Space(リバーブ)
Spaceでは奥行きを付加するリバーブの設定が可能です。
フェーダーを上げることでリバーブ感が強まります。
上記の処理を直感的に利用し、ボーカルをオケに馴染ませる手順をiZotope公式ビデオで紹介されているのでチェックしてみてください。
▼「Nectar 3 Elementsで難しいことを考えずにボーカルをオケに馴染ませる例」
これらの処理は1から自分で調整することもできますが、やはりNectarに搭載されている「ボーカルアシスタント機能」を使用して、分析・自動適用を使ってみるのがおすすめです。
Vocal Assistant機能・使い方
「Vocal Assistant」は、その名前の通りボーカルトラックに施す処理をアシスタントしてくれる機能です。
Vocal Assistant機能を起動させ、ボーカルを再生することで分析・処理を行ってくれます。
上記の画像のようにVocal Assistantの設定では、適用量やタイプを選択することで用途に併せた処理を適用してくれます。
【Vibes】の項目では下記の3つのタイプから選択します。
- Vintage:低音寄りでLo-Fi感・ビンテージ感のあるサウンドに
- Modern:現代的でブライトなサウンドに
- Dialogue:会話・ナレーション・ダイアログ用の処理
【Intensity】の項目では、処理を適用する度合いを選択します。
- Light:軽めかつ穏やかな処理
- Moderate:LightとAggressiveの中間程度の処理
- Aggressive:積極的な処理を施したい場合に選択
それぞれを選択後、「GO」をクリックして再生すると分析が開始されます。
分析中は上記のような画面となる数秒~数十秒で分析が完了し、分析が終わると同時に適した処理が自動的に適用されます。
自分の好みのサウンドになるように各パラメーターを調整していくことでボーカルトラックの処理を素早く完了できます。
「歌ってみた」用に録音したボーカルを手軽にミックスするなら「Elements」で聞き映えの良いボーカルに仕上げられます◎
「Elements」でも素晴らしい仕上がりになりますが、プロクオリティのボーカルトラックに近づけるためには更にもっと細かな調整が必要です。
そんなときに重宝するのが、上位版の「Nectar 3 Plus」です。
上位版「Nectar 3 Plus」と「Elements」の違いは?
冒頭でも触れた通り、「Nectar」には上位版の「Nectar 3 Plus」があります。
「Elements」よりも多くの機能を備え、より詳細に渡る調整や幅広い加工が可能です。
まずは、「Nectar 3 Plus」と「Elements」の違いをわかりやすく解説している公式動画をチェックしておきましょう。
「Nectar 3 Plus」では「Elements」には搭載されていないエフェクトが搭載されていることや、ピッチのズレを1音ずつ手動で補正できる「Melodyne 5 Essential」が付属しているなど、ボーカルのミックスに必要な多くのエフェクト処理・プロセッシングが行えます。
各エフェクトを細かく調整して、自分の楽曲に適したエフェクト処理を適用していくなら「Nectar 3 Plus」が最もおすすめです。
更にイメージに近く、質の良いボーカルトラックに仕上げるために是非「Nectar 3 Plus」の導入を検討してみてください。
仕様・システム条件
【Mac】
OS X 10.8.5 Mountain Lion ~ macOS 11 Big Sur(64bitのみ)・Apple silicon Mac対応
プラグインフォーマット(Rosetta 2使用) :VST3 / AU /AAX
【Windows】
Windows 7 ~ Windows 10(64bitのみ)
【共通】
プラグインフォーマット:AU / AAX (64–bit / real-time) / AAX-AS (64–bit) / VST2 / VST3
対応DAW:Ableton Live / Cubase / Digital Performer / FL Studio / Logic Pro X / Nuendo / Pro Tools / Reaper / Reason / Studio One
販売ショップ・購入ページ
「Nectar」は初心者はもちろん、上級者に至るまでボーカルミックスツールとして愛用されているプラグインです。
ボーカルミックスの経験がない方は特に「Nectar elements」を体験して、「素の音」と「処理を施した音」の違いを感じてみてください。
ボーカル処理に必要なプロセスを学ぶ上でも役立ってくれるはずです。
Nectar Elementsだけでなく、iZotopeはミックスをクオリティを上げるために活躍してくれるプラグインが数多くリリースされています。
ボーカル以外のミックスや、マスタリングまで行う際に活躍してくれるプラグインを下記のページで取り上げているので併せてチェックしてみてください。
【画像出典】iZotope公式サイト