Wavesのマキシマイザープラグインの金字塔・Lシリーズの最新版「L4 Ultramaximizer」がリリースされました。
一時期、マスタリング時のマキシマイザーといえば「L2」「L3」または「L3-16」が定番中の定番として多くのユーザーに愛されていましたが、L3の発売から約19年の年月を経て遂に「L4 Ultramaximizer」がリリース。
現代の音楽・制作環境に合わせて再設計され、ストリーミングに最適な迫力のあるレベルを実現するだけでなくナチュラルな仕上がりを得られることや、豊かな低音&パンチ感のある生き生きとしたサウンドを実現してくれるのが特徴です。
Lシリーズを使ってきたユーザーはもちろん、使いやすいマキシマイザーを探している方はチェックすべき製品となっています▽
L4 Ultramaximizerのセール情報
●L4 Ultramaximizerリリース記念SALE
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メディアインテグレーション
【セール期間】
2025年9月29日~
L4 Ultramaximizer
【価格】15,840円 (税込) → 50%オフ 7,920円 (税込)
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※為替変動の影響により、掲載時の日本円価格と異なる場合があります。最新の価格はセールページでご確認ください。
L4 Ultramaximizerの特徴
- 5種類の独自のリミッターアルゴリズムを搭載(Modern、Aggressive、Smooth、Safe、L2)
- アダプティブクリッピング&リリースコントロール機能を搭載
- グラフ表示とクラシックモードの2種類のGUI表示が可能
- アップワードコンプレッションの設定・調整が可能
- トゥルーピークリミッターを搭載
- オーバーサンプリングの使用・選択が可能(最大×16)
- LUFSメーターを搭載
- ゲインマッチ機能やステレオリンクなど各種機能も搭載
- 低レイテンシー設計によりレコーディングを始め、マスタリング、ライブステージまで幅広く対応可能。LV1、Ableton Liveセッションでも安定動作
「L4」の旧バージョンにあたるWAVES「L1」や「L2」は1990〜2000年代において音圧を稼ぐプラグインの代名詞として名を馳せたプラグインです。その後に発売された「L3」「L316」なども多くの作曲家・エンジニアに使われ、Lシリーズはマキシマイザーの金字塔と言っても過言ではないほどのプラグインです。現在も多くのユーザーが愛用していると思います。
最後にリリースされたLシリーズプラグインから約19年の時を経て、現代の制作環境に合わせて進化を遂げたのが今回リリースされた「L4 Ultramaximizer」です。
前作からあまりにも年月が経過していたこともあり、オーバーサンプリングやトゥルーピークなどの機能は「やっと搭載されたか…」という感じですが結果的に現代のプラグインの利便性の水準に達したように思います。
「L4 Ultramaximizer」は、現代主流となっているストリーミングサービスでの配信において競争力のあるレベルを実現するというコンセプトの下に制作。
現在の楽曲に要求される音圧やダイナミクスなど音楽的に必要な要素を兼ね備え、過去のLシリーズのようにラウドな仕上がりに導くだけでなく、音楽的な表現力も考慮されているのが特徴です。
TIPS動画
5種類のリミッティングアルゴリズムを搭載


「L4 Ultramaximizer」には、楽曲のジャンルや用途に合わせて選択できる5つのモードが搭載されています。
現代的なモードである「Modern」を始め、過去のシリーズの中でも人気が高かった「L2」のモードが搭載されていることも注目ポイントです。
- Modern:現代的でバランスの取れたサウンドのモード
- Aggressive:前に力強く押し出すようなインパクト重視のモード
- Smooth:滑らかかつナチュラルな質感のモード
- Safe:透明感を保ちつつピークを抑制するセーフティなモード
- L2:評価が高い「L2」のサウンドを継承したモード
グラフィカルビューでの表示も可能


上記の画像のように、L2譲りのシンプルな操作性のクラシックビューに加え、処理状況を視覚的に確認できるグラフィカルビューに切り替えて使用することもできます▽


グラフィカルビュー内でもThreshold、Ceiling、Upwardの各フェーダーの調整が可能です。
アダプティブクリッパー & リリース


GUI右下には素材に応じて自動最適化されるクリッパーとリリース機能が配置されています。
自然で音楽的な仕上がりを実現するために重要なセクションとなっています。
Release
Releaseのスライダーはリミッターのリリースタイムの調整値で、実際に適用されるリリースタイムは入力信号と選択したモードに基づいて自動的に決定されます。(内部で計算されたリリースタイム値に倍率をかける役割)
スライダーは0.10倍(高速)~10倍(低速)の範囲で調整が可能(デフォルト値は1.00倍)。
Clip
Clipのスライダーは音量アップに適用されるアダプティブクリッピングの量を調整し、クリッピングの許容レベルを設定できます。
Releaseと同様、信号レベルと選択したモードに応じて自動的に判定され、ます。このコントロールは、0.10倍(クリッピングなし)~10倍(強いクリッピング)の範囲で設定できます。(デフォルト値は1.00倍)。
アップワードコンプレッションを搭載


新たに搭載されたUpwardコンプレッションは、WAVESのプラグイン「MV2」に着想を得て実装された機能です。
アップワードコンプレッションは、ミックス全体の音量を無理矢理に大きくすることなく音量の小さい部分を強調できることでダイナミックレンジの調整に効果的。
このUpwardフェーダーを上げることで静かなパートを前面に引き出し音に密度と存在感を加えられます。
例えばイントロやサビ、ブレイクなどで音のディテールや温かみ・存在感が際立たせたいときなどに特に便利で、リミッター設定と組み合わせることでラウドネスとダイナミクスを同時に意図したものに近づけられます。
Upwardの指定可能な範囲は0~10.0(デフォルト値は0)で、このUpward設定も使用モードに応じて自動最適化され適用されます。
ラウドネスメーターを搭載


遂に搭載されたか…という印象ですが、LUFSによるShort及びLongのメーターが搭載され、各種ストリーミングサービスへの最適化をスムーズに行えるようになりました。
GUI右側のセクションに、業界標準規格(EBU R128、ITU-R BS.1770)に準拠した音量表示パネルが配置され、下記の数値を把握できます。
- Integrated LUFS(長期平均値)
- Short-Term LUFS(3秒間隔のLUFS値)
- True Peak(dBTP)
- Loudness Range(Range)音量変動範囲
LUFSメーターのタイトル部分をクリックするとShort-Term LUFSとLong-Term LUFSの表示切り替えができます。
6種類のファクトリープリセットを収録


「L4 Ultramaximizer」には、予め6種類のプリセットが収録されています。
初めて使う際には「どう設定するのが正解なの?」と悩んでしまうこともあると思いますが、収録されている6タイプのプリセットを読み込み、それぞれ適用されている設定値を参考にしつつ自分の楽曲に見合う設定に調整していくのがおすすめです。
Ditheringの設定


GUI右上の「Dither」のボタンをクリックするとディザリングの設定画面が開きます。
ここで設定するDitheringの処理は、デジタルオーディオファイルをストリーミング用に圧縮した場合に発生する量子化ノイズを軽減するための役割を持っています。
フェードアウト時やリバーブの余韻などがザラザラとした不快なノイズ音に聞こえることがありますが、ディザリング処理を行うことで聴覚に影響しない微弱なホワイトノイズを意図的に加え、これらの不快なノイズを軽減できます。
要するに、エクスポート後も音楽の静かな部分をクリアで自然な音質に保つことが可能です。
L4には下記のモードを選択して状況に合わせたディザリング処理が行えます。
Quantize
QuantizeをクリックするとBitモードの選択ができます。Bitの設定は一般的に、CDに書き出す場合は16ビット、ハイレゾ音源では24ビットなど最終的な出力形式に合わせてビット数を設定します。
- 24ビット/22ビット/20ビット/18ビット/16ビットモードからそれぞれ選択が可能
Dithering Types
Ditheringタイプは2種類から選択できます。
- Type1:低レベルの歪みがなく、複数の処理段階でもクリアな音質を実現する高音質重視モード
- Type2:ノイズが最小限に抑制し、ノイズを極力抑えたい場合に最適。わずかな低レベルの歪みが発生します
Noise-Shaping
Noise-Shapingはノイズを15kHz以上の高周波域に移動させることで可聴域外に抑える設定ができます。
- Moderate:控えめなノイズ低減効果を適用
- Normal:一般的な使用に適した設定
- Ultra:ノイズ低減効果を最大限に発揮(後工程での編集作業及び低品質DACでの再生時に高周波域の問題が発生する可能性があるため、最終マスターのみでの使用が推奨されています)
以上が主な設定概要です。
関連動画
過去のバージョンとの機能比較
L1 | L2 | L3 | L4 | |
---|---|---|---|---|
定価 | $99 | $129 | $149 | $99 |
Brickwall limiting with lookahead | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
Dithering | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
Link slider | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
Multiband limiting | ✕ | ✕ | ◯ | ✕ |
Adaptive Release | ✕ | ✕ | ✕ | ◯ |
Adaptive Clipper | ✕ | ✕ | ✕ | ◯ |
Upward Compression | ✕ | ✕ | ✕ | ◯ |
True Peak limiting | ✕ | ✕ | ✕ | ◯ |
Stereo link control | ✕ | ✕ | ✕ | ◯ |
Number of limiting algorithms | 1 | 1 | 1 | 5 |
LUFS metering | ✕ | ✕ | ✕ | ◯ |
Oversampling | ✕ | ✕ | ✕ | ◯ |
Gain-match button | ✕ | ✕ | ✕ | ◯ |
Delta control | ✕ | ✕ | ✕ | ◯ |
各製品取扱ショップ(メディアインテグレーション)
- L1 Ultramaximizer
- L2 Ultramaximizer
- L3 Multimaximizer(L3 Multimaximizer、L3 Ultramaximizer、L3-LL Multimaximizer、L3-LL Ultramaximizerの4つを収録)
- L4 Ultramaximizer
仕様・プラグイン動作条件
Mac
CPU:Intel or Silicon Architecture
See notes regarding Apple Silicon based processors
Memory:16 GB RAM
30 GB free disk space on the system drive
OS:macOS Ventura 13, Sonoma 14, Sequoia 15, Tahoe 26
Windows
CPU:X64 compatible Intel or AMD CPU
Memory:16 GB RAM
30 GB free disk space on the system drive
OS:Windows 10 64 bit・Windows 11
まとめ・取り扱いショップ一覧
「L4 Ultramaximizer」は、現在もLシリーズを愛用している方は入手すべきプラグインかと思いますが、Ozoneなどを使っている方も一度試してみるのがおすすめ。
Lシリーズのならではのパワーのあるマスターへの仕上げに貢献してくれるだけでなく、ナチュラルなサウンド感も魅力。
Waves Update Planが有効状態のMercuryユーザーは無償で使えますが、Mercuryユーザー以外はイントロセール期間中にチェックしておくのがおすすめです。
デモ版が利用できるので、まずは是非自身の楽曲で使ってみてください▽
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