ロシアのプラグインメーカーdSONIQ社が開発した「Realphones」はヘッドホンのサウンドを補正し正確なモニタリングをするために調整してくれるヘッドホンキャリブレーションプラグインです。
2023年末に新バージョン「Realphones 2」がリリースされました。
Realphones 2と似たタイプのプラグインには「SoundID Reference」などがありますが、Realphones 2はヘッドホンの補正に加えて、複数の環境をシミュレートすることが可能。リスナーのリスニング環境を想定したミックスを行うことも可能になっています。
Realphones 2 Ultimate (最上位版)
【価格】$240.9(35,443円 税込)
>> 製品ページ
※日本円価格は為替変動の影響により、掲載時と異なる場合があります。最新の価格はセールページでご確認ください。
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Realphones 2の特徴
DTMの普及によって自宅で音楽制作をするのが一般的になりましたが、リスニング環境は日本の住宅事情的に大きなスピーカーを鳴らすというのは難しいケースが多く、ヘッドホンを使って作曲やミックスをしている人が多いと思います。
他にも外出先で作曲〜ミックスといった作業をする人もヘッドホンを使用する機会が多いですよね。
その場合、使用しているヘッドホンによってモニターする音に違いが出てしまいます。
また、音がフラットではないヘッドホンだと、音の癖を見越したミックスが必要になり、そうなるとバランスの良いミックスへと仕上げるのが困難になってしまうことも。
実際、ミックスを良くしたいというときに最も重要なのは、ミックスプラグインを追加するよりも、まずは正確に音が聴くことができるモニター環境というエンジニアの方も多いです。
そんなフラットなヘッドホンでのミックス環境作りをサポートしてくれるのが、「Realphones 2」です。
主な特徴・主要機能
- ヘッドフォンの周波数応答を修正
- プロフェッショナルな近距離および遠距離フィールドのモニタリングを備えたスタジオのコントロール ルームをエミュレート
- HRTF に基づいたバイノーラル仮想ポジショニングを使用
- プロフェッショナルおよび家庭/民生用オーディオ再生システムの周波数応答をシミュレート
- ミックスの空間成分と周波数成分をモニタリング可能
「Realphones」は、
- 所有しているヘッドホンの補正
- レコーディングスタジオなど複数のリスニング環境の周波数特性をヘッドホンに再現
という2つの大きな特徴があります。
「Sonarworks Reference 4」はモニター、ヘッドホンの補正ができますが、「Realphones」はヘッドホンの補正に特化しているという点。さらに「バイノーラル処理」をプラスしていて、ヘッドホンでレコーディングスタジオのコントロールルームで聴くようなルームアンビエンス補正が調整可能です。
バージョン2の新機能
- サウンドエンジンをアップデート
- ルームエミュレーションテクノロジーを更新
- カスタム キャリブレーションのプロファイルを追加 (Professional / Ultimate Editionのみ)
- 標準補正プロファイル用のチューニングEQを追加 (Professional / Ultimate Edition のみ)
- システム全体のMIDIコントロールサポートを追加
- システム全体のマルチチャンネルオーディオインターフェイス用にスルーアウトを追加
- スナップショットがドラッグ可能に
- ネイティブApple Silicon サポート
- 安定性の向上
- 更新されたGUI カラーテーマ
- その他のマイナーな機能強化
- 新たなスタジオ・デバイスのエミュレーションを追加
- モノラル互換性、左右対称性、シングルスピーカー再生、側面の逆位相成分をテスト
UIの刷新
バージョン2になり、UIにも変更がありました。前バージョンよりもスッキリとしていて視認性が良くなっています。
新しいエミュレーション
Realphones2には、ヘッドフォン内に再現する仮想空間に新しいエミュレーションが追加されています。
- スタジオ:Studio 21A、Cinelab、dSONIQ Lab Studio、Music Studioの更新されたエミュレーション
- デバイス:スマートフォン、ラップトップ、テレビ、Bluetooth スピーカー
- 車種:韓国 H Car Slrs 2016、ドイツ B Car 520 2014
- 環境:ホームスタジオ、寝室、公共の場所、コンサートホール
Realphones2はヘッドフォンのサウンド補正に加えて、プロのレコーディング スタジオ、ナイトクラブ、車の音響といったリスニング環境をヘッドフォンに再現できます。
Realphones2を使用することでリスナーのリスニング環境を想定したミックスチェックが素早く行えます。
ヘッドフォンの周波数特性補正
Realphonesは各メーカーのヘッドフォンの周波数応答補正を行うことで、不要な色付けを最小限に抑えたリニアなサウンドを聞くことができます。
約200のヘッドフォン モデルをサポート
現在、Realphones は約200のヘッドフォン モデルをサポートしています。
Realphonesの対応ヘッドホン ※タップすると開きます。
- Adam Audio SP-5
- AKG K52・AKG K72・AKG K77・AKG K92・AKG K121 Studio・AKG K141 MKII・AKG K240 MKII・AKG K240 Studio・AKG K271 MKII・AKG K514 MKII・AKG K601・AKG K612 Pro・AKG K701・AKG K702・AKG K712 Pro
- Apple EarPods・Apple AirPods (gen 1.2)
- Artesia AMH-122
- Audeze LCD-1・Audeze LCD-2・Audeze LCD-X・Audeze LCD-XC・Audeze Sine
- Audio-Technica ATH-910 Pro・Audio-Technica ATH-M20x・Audio-Technica ATH-M30x・Audio-Technica ATH-M40x・Audio-Technica ATH-M50・Audio-Technica ATH-M50x・Audio-Technica ATH-M70x・Audio-Technica ATH-MSR7・Audio-Technica ATH-R70x
- Axelvox HD 241・Axelvox HD 242・Axelvox HD 271・Axelvox HD 272
- Beyerdynamic Custom One Pro・Beyerdynamic Custom Studio Standard・Beyerdynamic DT 150・Beyerdynamic DT 240 Pro・Beyerdynamic DT 250・Beyerdynamic DT 770 Pro 32 Ohm・Beyerdynamic DT 770 Pro 80 Ohm・Beyerdynamic DT 770 Pro 250 Ohm・Beyerdynamic DT 880 Pro・Beyerdynamic DT 990 Pro 250 Ohm・Beyerdynamic DT 1770 Pro 250 Ohm・Beyerdynamic DT 1990 Pro 250 Ohm
- Blue Mo-Fi
- Bose QuietComfort 25・Bose QuietComfort 35
- Bowers & Wilkins P9
- Denon AH-D2000
- Direct Sound Extreme Isolation EX-29
- ESI eXtra 10
- Focal Clear Professional・Focal Listen Professional・Focal Spirit Professional・Focal Utopia
Focusrite Scarlett HP 60 (gen 1) - Fostex T50RP・Fostex T50RP mk2・Fostex T50RP mk3
- HeddPhone
- Hifiman HE-500・Hifiman HE400i・Hifiman HE400S・Hifiman Sundara
- HyperX Cloud Stinger
- ISK HF2010・ISK MDH8000
- Koss Porta Pro Classic
- KRK KNS 6400・KRK KNS 8400
- M-Audio Q40
- Marshall Major II・Marshall Monitor
- Neumann NDH 20
- Oppo PM-3
- Philips SBC HP200
- PreSonus HD7・PreSonus HD9
- Roland RH300
- Samson SR850・Samson SR950
- Sennheiser HD6 Mix・Sennheiser HD 25・Sennhesier HD 200 Pro・Sennheiser HD 205・Sennheiser HD 206・Sennheiser HD 215-II・Sennheiser HD 280 Pro・Sennheiser HD 380 Pro・Sennheiser HD 535・Sennheiser HD 558・Sennheiser HD 559・Sennheiser HD 580・Sennheiser HD 598・Sennheiser HD 600・Sennheiser HD 650・Sennheiser HD 660 S・Sennheiser HD 700・Sennheiser HD 800・Sennheiser HD 800 S
- Shure SRH440・Shure SRH840・Shure SRH940・Shure SRH1440・Shure SRH1540・Shure SRH1840
- Sony MDR-1A・Sony MDR-7506・Sony MDR-7510・Sony MDR-7520・Sony MDR-Z7
- Steven Slate Audio VSX
- Superlux HD 668B・Superlux HD 681
- Tascam TH-06
- Telefunken THP-29
- Yamaha HPH-MT5・Yamaha HPH-MT7・Yamaha HPH-MT8
ヘッドフォンの中にスタジオコントロールルームを内蔵
Realphonesはプロのスタジオのように近距離、中距離、遠距離フィールドのモニターを装備したスタジオのコントロールルームをエミュレーション。
アメリカの建築家トム ヒドリーが設計し、イギリスの音響学者ロジャー ダーシーが改造した本物のハイエンドの大型コントロールルームをエミュレートしています。
これによってヘッドフォンの再生環境を従来のヘッドホンのステレオ再生からスタジオでのモニタリングをしているような環境を再現します。
ヘッドフォンのトランスデューサは耳の近くに配置され、相互に音響的に隔離されています。
この再生環境のデメリットには、
- 想像上の音源の間隔が広すぎて、しっかりとしたサウンドステージに結合されていない
- 中央とサイドのスペクトルバランスが崩れている
- ルームの反応が欠けていると、乾いた細いサウンドになりやすい
- ヘッドフォンによって色付けが強いケースがある
Realphonesは、この状況を解消するのに心理音響的な仮想ソースを配置し、標準的なスタジオモニター セットアップの再現をしています。
仮想ソースを配置することで、
- ミックスとそのコンポーネントの表現を一致
- センターとサイドのレベルと周波数のバランスが再構築できる
- 音源の適切な定位のチェックが可能
また、再生環境を再現した場所の雰囲気を100%に設定することで、ドライなヘッドフォンサウンドにアンビエンスが追加されて、スタジオなどでモニタリングしているような音場を作り出してくれます。
ドライなヘッドフォンサウンドに、プロのスタジオコントロールルームのバイノーラルキャプチャされたアンビエンスが追加されます。
- は実際の室内音響の状況で再現
- ミックスのボディ、トランジェント、スペースが明らかになる
- 部屋の反射は、より良いミックス変換のためにレベル、イコライゼーション、スペース、エフェクトを微調整するためのポイントを提供
リスニング環境をエミュレーション
Realphones2になって、ミックステストツールとして、スタジオのコントロールルームの他に様々なリスニング環境のエミュレーションが追加されています。
例えば、ナイトクラブのような強力なサブウーファーによる低域の再生レンジの広さがあります。
スタジオでトラックを作業しているときには気づかなかった低周波の問題をチェックするのに活躍します。
プロフェッショナル向けモニターだけでなく、民生用のオーディオスピーカーやスマートフォン、bluetoothスピーカーなど様々なデバイスサウンドをモデリングし、再現できます。
Realphones 2のエディション一覧
「Realphones 2」は3つのエディションが用意されています。
基本的にはヘッドフォンのプロファイル数の数に違いがあり、最上位版はサポートしているすべてのヘッドフォンプロファイルから選択できるので、より自分のヘッドフォンに合った補正を行った上でルームエミュレーションを使用したい場合は最上位版の導入がおすすめです。
以前のバージョンでは、Realphones Ultimate / Professional / Liteという製品名でしたが、
バージョン2で下記の名称に変更されました。
Realphones 2 Standard
「Realphones 2 Standard」は3つのバージョンのエントリー版に位置するグレードです。
ヘッドフォンのプロファイルに関しては汎用ヘッドフォンのプロファイルのみに対応するなど上位版と比べて機能面に制限があります。
【価格】$108.9
>> 販売ページ
Realphones 2 Professional
「Realphones 2 Professional」はRealphonesの上位バージョンです。
汎用ヘッドフォンのプロファイルに加えて3つの標準ヘッドホンのキャリブレーションプロファイルが選択可能です。
【価格】$163.9
>> 販売ページ
Realphones 2 Ultimate
「Realphones 2 Ultimate」はRealphonesの最上位版です。
Realphonesがサポートしているヘッドホンのキャリブレーションプロファイルが無制限に選択可能
【価格】$240.9
>> 販売ページ
体験版
Realphones 2は体験版が用意されているので、購入前にお試し可能です。上記販売リンク先の「Trial Version」からも体験版の利用が可能です。
dSONIQ公式サイトでも体験版がダウンロードできます。
>> ダウンロードページ
プラグイン仕様
【対応OS】
- Mac: Mac OS X 10.9以降 (Intel / M1 Apple Silicon対応)(64ビットのみ)
- Windows 7 以降 (32 ビットまたは 64 ビット)
【プラグインフォーマット】
VST、VST3、AU
※システム条件は掲載当時の内容となります。最新の対応状況の情報については販売ページ、メーカーページでご確認ください。
まとめ
Realphonesのような音響補正を行うプラグインを導入するメリットは、フラットな音がどんな音なのかを自分のヘッドホン環境で知ることができる点かと思います。
所有しているヘッドホンの特性を理解しつつ、音響補正プラグインを使ってチェックをすることで、バランスの良いミックス作りがスムーズに進められます。
ヘッドホンでミックスをしている方で自分のヘッドホンでミックスを聴いていると良い感じなのに、スピーカーや他の場所で聴いた時に思った音になっていない…と悩んでいるときには是非チェックしてみてください▽
>> Realphones 2のセールページ