2023年9月6日にOzoneの最新バージョン「Ozone 11」がリリースされました!
AIを取り入れたマスタリングアシスタント機能の他に、ミックスでも活躍してくれる強力な各モジュールによって、さらにミックス・マスタリングの向上に役立ってくれます。
この記事は「Ozone10」の機能やグレードについてお伝えしています。
iZotope「Ozone10」は、AIによるアシスタント機能がさらに向上し、より革新的な機能を搭載したマスタリングソフトです。
バージョンを重ねるごとに進化し、今では業界標準とも言えるほどプロ・アマ問わず多くのDTMerに愛用されています。
- マスタリングに詳しくないけれど、セルフマスタリングをしたい
- 2MIXの完成度を高めたい
- 簡単な操作でマスタリングを済ませたい
- リファレンスにしている曲に自分の曲を近づけたい
Ozone 10の主な機能
Ozone 10には、Ozone 9までのマスタリングアシスタント機能やTrack Reference、Master Rebalance(マスター・リバランス)、Low End Focus(ロー・エンド・フォーカス)、ビンテージ感を付加する機能を含むエフェクトモジュールに加えて、さらにバランスの良いミックスに仕上げるための便利機能が追加されています。
また、UIも新しくなり、Apple M1チップにネイティブ対応しています。
- セルフマスタリング
- AIによる自動マスタリング
- 各モジュールを使ったミックス
- 参考にしている曲にサウンド傾向を近づける
- 2MIXからサウンドバランスを変える
新機能
Ozone 10で追加された主な機能には、
- Stabilizer Module:問題のある周波数を調整できる機能
- Impact Module:ダイナミクスを直感的にコントロールする機能
- Recover Sides:サイドを失うことなくステレオ幅を狭める機能
- Magnify Soft Clip:原音を維持しながらラウドネスをブーストする機能
- Master Assistantのパワーアップ
以上のような、マスタリング時のミックスの問題点を調整したり、聞きやすいサウンドに仕上げられる機能が追加されています。
Stabilizer Module(スタビライザー・モジュール)
Stabilizer Moduleはミックス内で問題となっている周波数を調整してくれるマスタリングEQです。
他の周波数に影響が大きい箇所を抑えながら全体のイコライジングを行い、トランジェントをスムーズにしてバランスの良いサウンドに仕上げられます。
Impact Module(インパクト・モジュール)
Impact Moduleは、ミックスにパンチとダイナミクスを加えたり、トラック全体を馴染ませて厚みのあるサウンドに仕上げるマルチバンドコンプ的な機能です。
4つ周波数帯域に対応したスライダーを使ってサウンド調整ができます。
Magnify Soft Clip(マグニファイ・ソフトクリップ)
Magnify Soft Clipは、ヒット作に使用されているMaximizerのIRCアルゴリズムによるsoft clipperで原音を維持しながらラウドネスをブーストできるマキシマイザーモジュールの新機能です。
Recover Sides(リカバー・サイド)
Recover Sidesはイマーシブオーディオの技術を活用したImagerの新機能です。
ミックスのサイドの情報を維持しながら、ステレオ幅を狭めて低域の問題を解決するのに使用します。
奥行きを維持しながら広がり過ぎている低域を調整したい時に便利。
Master Assistantのパワーアップ
以前から搭載されていたMaster Assistantもパワーアップ。ユーザーインターフェースが刷新され、スタート・ポイントのカスタマイズがこれまで以上にスムーズに進められます。
ミックス全体の周波数を確認できるTonal Balanceカーブも簡単にチェックできるようになり、リファレンスにしている曲に近づける機能もトーンやダイナミクス、ステレオ幅にも対応。
今まで以上にリファレンスへと近付けられるように改良されています。
サウンドの変化が確認できるDelta monitoring機能
カットやブーストが適用されている周波数の確認ができるDelta monitoringを有効にするボタンが追加。StabilizerとImpact moduleといった新機能で、トラックにどのような変化が起きているか把握できます。
Ozone 9までの主な機能
「Ozone 9」には、スタンダードなマスタリングをサポートするエフェクトチェーンやAIによるマスタリングアシスタント機能に加えて、
- リファレンスに自分の曲を近づけるモジュール搭載
- 2MIXからバランスを再調整できる
- ロー、ミッド、ハイの細かな処理ができる機能を搭載
といった新機能が追加されて、さらにイメージに近いマスタリングに仕上げられるようになりました。
- Equalizer
- Match EQ
- Vintage EQ
- Dynamic EQ
- Dynamics
- Vintage Comp
- Vintage Limiter
- Vintage Tape
- Exciter
- Imager
- Maximizer
- Spectral Shaper
- Low End Focus
- Master Rebalance
Master Assistant
Ozoneの代名詞でもあるMaster Assistant機能はOzone 9になってModernとVintageの2つのスタイルを搭載。さらにストリーミングかCDのラウドネスターゲットを選択することで、曲を解析してマスタリングチェーンを組んでレベリングまで調整してくれます。
さらにスタイル、ジャンル別のカスタムプリセットも用意されていて、イメージに合わせたマスタリングの質感を選べます。
Track Reference(トラックリファレンス)
Track Referenceはリファレンスにしたい曲を読み込んでサウンドを分析して自分の曲を近づけてくれる機能です。
Master Rebalance(マスター・リバランス)
Master Rebalanceは2MIXのオーディオファイルからボーカル、ベース、ドラムのボリューム調整ができる新機能です。
イコライザーで調整して強調せずに、楽器の存在感を高めたり、低域の明瞭度を調整するなど、バランス補正ができます。
Low End Focus(ロー・エンド・フォーカス)
「Low End Focus」は新たに開発したローエンド専用のモジュールです。楽曲の中でミックスに影響を与えている低域の調整ができます。
主にキックとベースのバランス調整で活躍してくれるモジュールです。
Tonal Balance Control(トーナル・バランス・コントロール)
「Tonal Balance Control」はプロがマスタリングした数多くの楽曲を機械学習。データーをリファレンスターゲットとして提示してくれるプラグインです。
楽曲の周波数傾向を狙ったジャンルやサウンドに合わせるのを視覚的にチェックできます。
ヴィンテージの質感をプラス
Ozone 9にはマスタリングの質感にヴィンテージエフェクトの質感が加えられるヴィンテージモードを搭載。デジタルサウンドを温かみのあるアナログ的な質感に仕上げられます。
Match EQ
「Match EQ」はOzone 9で大幅に進化。8000以上のバンドを使用したEQはリファレンスにしている曲の周波数特性に合わせてくれる便利機能です。
Ozone10のバージョンの違いと価格
Ozone 10には、
- Elements(エントリー版)
- Standard(通常版)
- Advanced(最上位版)
という3つのグレードが用意されています。
Ozone 10 Elements
ElementsはOzone10のマスタリング機能を試してみたい人向けのエントリー版です。
上位バージョンと比較するといくつかの機能は制限されていますが、自動マスタリングを行うMaster Assistant機能も搭載されています。
新しく追加されたアシストビューの中では「Ozone10」のEQ・Imager・Maximizerの3モジュールによる、トーン・ダイナミクス・ステレオ幅の調整ができます。
ジャンル別のリファレンスも用意されているので、各ジャンルやリファレンスのトーンカーブに合わせてミックスの周波数特性を近づけることもできます。
DTMを始めたばかりの人が簡易的にセルフマスタリングをしたいというときにもおすすめです。
【公式価格:¥19,900(税込)】
Ozone 10 Standard
Ozone 10 StandardはOzone 10の通常版です。
基本的な機能を搭載しており、新機能のMagnify Soft ClipやRecover Sidesといった機能も使用可能。
新機能のStabilizer ModuleやImpact Moduleといった新機能や、書き出し時の音の変化をチェックできる「Codec Preview」や各モジュールの単体利用ができないなど、いくつかの機能制限はありますが、Ozone 10としての機能は基本的に使えるので、予算を押さえてセルフマスタリングをしたい人におすすめです。
【公式価格:¥37,000(税込)】
Ozone 10 Advanced
Ozone 10 AdvancedはOzone 10のすべての機能が使える最上位版です。搭載されている各エフェクトを単体プラグインとして使用できるなど、マスタリングだけでなく各トラックのミックスプラグインとしても活躍してくれます。
本格的なセルフマスタリングをしたい、機能面で比較するならAdvanced一択。予算的に難しい場合は基本的なモジュールが使えるStandardを選ぶのがおすすめです。
【公式価格:¥74,200(税込)】
システム環境
【Mac】
- macOS Catalina (10.15.7) – macOS Monterey (12.5.x)
- Intel Mac、Apple M1、Rosetta 2に対応
- AU, AAX, AAX Audiosuite, VST3 (VST 2 は非正式対応), 64bitのみ対応
【Windows】
- Windows 10 – Windows 11
- AAX, AAX Audiosuite, VST3 (VST 2 は非正式対応), 64bitのみ対応
過去バージョンの発売日履歴
- Ozone10 2022年9月13日
- Ozone 9 2019年10月3日
- Ozone 8 2017年10月5日
- Ozone 7 2015年11月3日
- Ozone 6 2014年10月30日
- Ozone 5 2011年11月9日
- Ozone 4 2009年2月11日
- Ozone 3 2003年11月21日
- Ozone 2 2002年10月24日
- Ozone 1 2001年10月17日
まとめ
iZotope Ozone 10はDTMerにとって、手軽にクオリティの高いセルフマスタリングができるソフトです。
初心者でも使いやすいマスタリングソフトは?と聞かれたら多くの人が「Ozone」と答えるくらい、広く定着しています。
しかも使用している人が多いので、使い方のTipsも豊富。公式の日本語チュートリアル動画も充実していて、誰でもスムーズに使っていけるのが魅力です。
iZotopeはセールも多いので、通常価格よりも安く買えることがほとんど。
- 簡単な操作でマスタリングをしたい
- 参考にしている曲に自分の曲を近づけたい
という人は、Ozone 10の良さを体験できます!
DAWに付属しているマキシマイザーやリミッターからステップアップしたい場合は、まずOzone 10をチェックすることをおすすめします!
【画像出典】Media Integration