SPITFIRE AUDIO社が手掛けるフリープラグインシリーズ「LABS」の「Vintage Keys」は、エレクトリックピアノの名機「Fender Rhodes model 73」をサンプリングしたエレピ音源です。
メロウで優しいサウンドから、歪みを含んだパワフルなサウンドなど様々な楽曲制作に対応できる4つのプリセットを収録。
ローズピアノには欠かせないトレモロセッティングも備えており、この「Vintage Keys」でローズピアノ音源は十分では?と思わせてくれるほど素晴らしいプラグインです。
「Vintage Keys」の特徴
- バラード、POP、ロック、ソウル、R&Bなど様々なジャンルにフィットする4つのプリセットを収録
- 実機には装備されていない「可変トレモロスピード」や、透明感とスケール感に定評のあるリバーブも装備
- ダイナミクスによる音色変化で、ヒーリング系の柔らかな音色から歪んだロック系サウンドまで再現
冒頭でも触れましたが「Vintage Keys」は、温もり・ざらつき・エネルギッシュさを合わせ持った世界で最も有名なエレクトリックピアノ「Rhodes Piano」をサンプリングしたエレピ音源です。
「Rhodes Piano」の中でも1974年頃までしか生産されていない希少機種「Fender Rhodes model 73」がサンプリングに使用されています。
直感的に操作できるユーザーインターフェース
「Vintage Keys」のユーザーインターフェースはシンプルで分かりやすい操作性も魅力です。
他の音源プラグインとは違い、各パラメータに「パラメータ名」が記載されていません。
しかし、パラメータを触ればすぐに分かります。
あえて文字を記載しないことでデザイン性を高い位置でキープする意識に好感が持てると思います。
●スライダー左:マスターボリューム
●スライダー右:トレモロの深さを調整
●ロータリーコントローラー
中央のボタンをクリックすると、右側にパラメータ名が3つ表示されます。
・SPEED(トレモロスピード)
・TONE(音色のトーン)
・REVERB(リバーブ)
それぞれのパラメータ名をクリックし、ロータリーフェーダーを時計回り または反対にドラッグする事でパラメータを変更できます。
実機には存在しない設定が可能な可変式トレモロ、トーン、「SPITFIRE AUDIO」の代名詞の一つである透明感と奥行のあるリバーブも搭載。
ちなみに、LABSシリーズは全て共通のユーザーインターフェースなので、他のプラグインを使用する場合も同様です。
定番の音色から想像力を掻き立てる音色まで。厳選された4つのプリセット
「Vintage Keys」には、厳選された4つのプリセットがラインナップされています。
「Vintage Keys」はプリセットが4種類しか無いものの、それぞれ質が高く汎用性が高いです。
エレピの王道の音色、キャビネットにオンマイキングで収録したと思われる音色、ギターアンプとの組み合わせと思われる音色、特殊な収録方法と思われるパーカッシブな音色の計4つのプリセットが収録されています。
The Seventy Three
「ザ・エレピ」というような音色。
弱いタッチの時にはメロウに、強いタッチの時には適度に歪みが加わり、エレピでのソロやボーカル+エレピの組み合わせにも使える高品質なサンプリング
Nothing But Cabinet
「Rhodes Piano」の代名詞の一つでもある内臓キャビネットに重点を置いて収録されたと思われる音色。
60~70年代のレコードを彷彿させる、あえて抑制されたトーンは、現代R&Bでも重宝しそうです。
Twinned Up
ギターメーカーとして世界中の人がその存在と価値を認める「Fender」社が手掛けたギターアンプ「The Twin」を使って鳴らした音を収録したと思われる音色。
「Fender Rhodes」と同時期に存在していた「The Twin」との組み合わせは、ソウル、ロック等の名盤で聴く事ができます。
ギターアンプ特有の周波数帯と歪み成分が加わった唯一無二の音色です。メーカーのデモ音源でもメインで使用されています。
Sign Of The Tines
鍵盤のハンマー部に重点を置いて収録したと思われる音色です。
パーカッシブなアタック音が前面に、音程を伴った通常のエレピ音が後ろに位置する、というようなちょっと変わった音色に感じます。
シネマティックな楽曲や、プラック音としてEDMやテクノポップなど通常のエレピとしての使用方法を超えた想像力を掻き立てる音色です。
以上4つのプリセットのみですが、プリセット数の少なさは音色に対する自信の表れ。
どのプリセットを使うか悩む時間を短縮化できるメリットと捉え、「エレピを足したい」と思ったら即座に「Vintage Keys」を立ちあげ、フレーズやグルーグを突き詰める時間に使えるので便利です。
「Vintage Keys」はエレピ音源に求めたいことの多くをカバーしてくれる音源で、無料プラグインの枠を大きく超えていると言っても過言ではないほど優秀だと感じます◎
仕様・システム要件
Kontakt不要。LABSの専用プレイヤーで使用します。
【Mac】
OSX 10.13 ~ OS11
CPU:intel / M1
※64bit DAW のみ。32bit DAW は対象外
【Windows】
Windows 7 / 8 / 10(最新のサービスパックを使用)
※64bit DAWのみ。32bit DAWは対象外
【プラグインフォーマット】
VST2 / VST3 / AAX / AU(MAC)
ダウンロードページ
「Vintage Keys」をはじめとした「LABS」シリーズは、ドラム、パーカッション、ベース、ギター、アコースティックピアノ、ストリングスなど、このシリーズのみで楽曲制作が可能な50種類以上のラインナップと質の高さを持ちながら無料で利用できるのが魅力。
「Vintage Keys」だけでなく、「LABS」シリーズの他の音源も是非プラグインリストに加えてみてください。
●ダウンロードページ
【公式サイト】SPITFIRE AUDIO
・LABS「Vintage Keys」
>> ダウンロードページはこちら
※Vintage Keys のインストールには SPITFIRE AUDIO のアカウントが必要です。(アカウント作成無料)
※Vintage Keys のインストールは同社の管理ソフト「Spitfire Audio App」を使用して行います。
▼インストール方法
また、無料で使用できるエレピ音源は「Vintage Keys」以外にもあります。
プラグインそれぞれによって質感や特徴が異なるので、様々なジャンルの楽曲を制作するなら複数のエレピ音源を持っておくのがおすすめです。
下記のページで取り上げているエレピ音源も是非チェックしてみてください。
【画像出典】SPITFIRE AUDIO