Softube「Clipper」は、この製品名の通りクリッパーに分類されるプラグインです。
「Clipper」を使うことによって得られる効果・メリットは主に下記のようなものがあります。
- ピークレベルを上げずにマスタートラックやバストラックをラウドに
- サウンドに躍動感のあるパンチ感を加えられる
- オーディオデータとして問題のある歪みではなく、音楽的かつ、ディストーションやサチュレーションとは異なる歪みが得られる
また、メーカーのSoftubeはドラムバスに使用してドラムの音色・キャラクターに変化を加えるクリエイティブな使い方も推奨しています。
特に分かりやすい効果として、「自分の曲の2Mixが小さく聞こえる、迫力が物足りない…」と感じているのであれば「Clipper」を使用することでラウドネスレベルを引き上げ、迫力のあるミックスに仕上げられる、という効果もあります。
RockやHipHop、Hardcoreなどのジャンルの曲を作っている方には特に重宝するエフェクトではないでしょうか。
「歪みを加えるならサチュレーターでいいのでは?」と思えたり、「音圧やレベルを高めるためにマスターに使うならリミッターやマスタリングコンプでいいんじゃない?」と思えてしまいますが、クリッパーを使用することで得られる効果があります。
クリッパーはコンプやリミッターと同様に奥深く、扱いが難しい側面もありますが、少しずつでも使いこなせるようになっていくと、よりイメージしたミックス/サウンドメイクができるようになるので使ってみるべきプラグインだと思います。
- 迫力・パンチ感のあるミックスに仕上げたい
- ギターやベース、ボーカルなど各楽器にアナログクリッピングの質感を加えて存在感を出したい
- 他のクリッパーよりも細部にまで調整できるクリッパープラグインが欲しい
Clipperのセール情報
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Softube「Clipper」の特徴
クリッパープラグインは数多くリリースされていますが、Softubeの「Clipper」と他のクリッパー系プラグインの異なる点は、「RMSセクション」と「Peakセクション」の2つのステージで構成されていることです。
メーカー側はデュアルステージクリッパーという呼び方をしています。
「RMSセクション」も「PEAKセクション」も歪みの調整を行えますが、それぞれ歪ませ方に違いがあります。
RMSセクション
ゲイン調整によってオーディオをブーストさせて歪みを得ます。RMSセクションはソフトなサチュレーターにあたり、ピークよりもRMS値(迫力感/エネルギー)を増加させながらブーストさせていくイメージです。
強めの設定にすると重厚感のあるディストーションのような歪みも得られます。
PEAKセクション
PEAKセクション(PEAKステージ)では、設定したCEILINGの値を超えるトランジェントをバッサリとカットするハードクリッパーの役目を果たします。
設定した値を超過するトランジェントを抑え込んで圧縮するリミッター/コンプとは違い、はみ出したピークをカットして切り捨てるというイメージです。
また、アナログカラーオプション機能、ソフト二ー機能など微細な調整も可能です。
一般的なクリッパープラグインはユーザーインターフェースがシンプルで使いやすいものが多いですが、裏を返すと大味なものが多い印象。
一方、Softubeの「Clipper」は波形を細部まで目視しながら分析するように使えるため、微細な調整が可能なクリッパープラグインだなと感じました。
ユーザーインターフェースの操作画面・各パラメーターの役割
ユーザーインターフェースの一番左側は、入力レベルを確認できるInputレベルメーターです。このメーターはUI右上のアイコンで非表示にもできます。
上記画像で右側にあたるエリアは波形ビュー画面で、ピークレベル、スレッショルドの値が確認できます。
また、波形ビューのすぐ左横にある「GR RMSメーター」はRMSゲインリダクションメーターです。波形ビューの右横の「GR PEAKメーター」はピークゲインリダクションメーターになっています。
次はUI右側のエリアについて触れます。
①INPUTステージ
RMSステージに入る前のオーディオのGAIN量を調整します。
まず最初に実践するおすすめの設定方法は、音を再生しながら歪みが聞こえ始めるまで少しずつGAINを上げていきます。
歪みを感じた値から1~2dBを下げた値から使い始めるのがおすすめです。
ギターアンプで例えると「ある程度GAINを上げきらないと心地よい歪みは得られない」という感じに似ているかもしれません。
この設定をした後に、GAIN DIFFの下部にある「SET」を押し、オーディオのレベルを合わせます。
どの目的でもまずはこの設定から試してみるのが良いと個人的には思いますが、思うままに色々と試してみてください。
②RMSステージ(RMS Controls)
RMSステージは、ソフトなダイナミックサチュレーターの特徴を持ち、ピークよりもRMSを増加させるコントロールが可能。
このステージでは下記の4つの値が調整できます。
HEADROOM
RMSステージに入力されるまでのヘッドルーム(ピークレベルまでの余白)を調整します。この設定値をプラス方向(右)に増やすと歪んだ印象が強くなります。
コンプで言うところの「スレッショルド」に似ていますが、Sofube側の言及では「RMSアルゴリズムはKnee/Thresholdが定義されていないディストーションであるためスレッショルドという名称にしなかった」とのこと。
Analog Color
RMSステージで生成される「偶数次高調波」(偶数倍音)の量を調整するパラメーターです。
要するに、設定値を上げると温かみや耳馴染みの良さに影響する偶数倍音が増えていく印象です。
LOW FREQUENCYおよびHIGH FREQUENCY
RMSステージでの高音域と低音域のクロスオーバーポイントを設定するパラメーターです。
設定した周波数帯の間のみで歪みを発生させます。
Filters On
Low FrequencyとHigh FrequencyのON/OFFを切り替えられます。
③PEAKステージ(Peak Controls)
PEAKステージは、オーディオに含まれるトランジェントをバッサリとカットするハードクリッパーの特徴を持つステージです。
下記の4つの値の調整と、2つの機能のON/OFFができます。
Ceiling
ピーククリッパーがクリップするレベルを設定するパラメーターです。
SOFT KNEEに設定している場合は、Ceilingで設定した値よりも数dB速くクリップが始まります。
HARD KNEEに設定していない場合、Ceilingの値を超える場合もあり。
SOFT KNEE
クリッパーの立ち上がりの柔らかさ(なだらかさ)を選択します。HARD KNEEではクリップレベルに達するまで音が聞こえませんが、SOFT KNEEに設定した場合、徐々に歪みが大きくなります。
ちなみにメーカー側の言及では、SOFT KNEEに設定するとHARD KNEEよりも偶数倍音が多く含まれるとされています。
LOW FREQUENCYおよびHIGH FREQUENCY
RMSステージのものと同様に、LOWとHIGHのクロスオーバーポイントを設定します。
Peak On
PEAKステージのON/OFFを切り替えます。OFFにするとPEAKステージの効果は一切適用されません。
Filters On
Low FrequencyとHigh FrequencyのON/OFFを切り替えられます。
Audition
ONにするとPeakステージでカットされた音だけをモニタリングできます。視覚に加え、音声としてもチェックしやすいので便利です。
④Output
Dry/Wet
歪ませたオーディオとバイパスされた原音のブレンド量を調整できます。
Output Gain
出力レベルを調整できます。
「Clipper」の使用例
SOFTUBEの公式TIPS動画を参考に「Clipper」を使ってみます。
【使用例1】ピークレベルを保ったままラウドネスを上げ、迫力のあるミックスに仕上げる
トラック全体のラウドネスレベルを下げてしまうような過度なトランジェントが楽曲内にある場合、マスタリングリミッターでどんなにGAINを上げても迫力のあるサウンドに仕上がらないときがあると思います。
こんなとき、「Clipper」のUIに表示される波形画面で過度なトランジェントの値を目視確認し、カットするスレッショルドレベルを設定。「Clipper」のあとにマスタリングコンプをインサートすることで楽曲のラウドネスレベルを押し上げ、迫力のあるミックスに仕上げられることもあります。
「Clipper」を使用し、ピークレベルはそのままにLUFS値を押し上げられるかをドラムのビートでチェックしてみました。(マスターコンプはかけていません)
「Clipper」適用前の元のサウンドはこちら。
最大Peakレベルは-1.6 LUFS-16.1という値が出ました。
設定は、プリセットリストにある「Saturated Drum Loop」を適用。OUTPUT GAINのみ – 0.1に下げています。
適用したサウンドがこちら。
ピークレベルは-1.6のままで、最大LUFS値は -15.0に上昇。
適用後の音は、ピークレベルはそのままでも音量が上がったように感じられました。
もう一度聴き比べてみると大きく異なるのがわかると思います。
Clipper適用前
Clipper適用後
今回はドラムのバスで試しましたが、マスターや他のバストラックでも同様にピークを抑えながらもサウンドに迫力を出せるようになりました。
ただ、極端な設定は禁物。あくまでも最後の一押しに、というくらいに捉えて置く方がいいと思います。
普段使っているマスタリングコンプ/リミッターの前段に、このクリッパーを適用するとラウドネスレベルが大きく変わります。
「自分のミックスはなんとなく迫力が足りない…」と感じている方は、是非「Clipper」を試してみてください。
【使用例2】クリッパーで歪みを加える
クリッパーの魅力の一つはクリッパー特有の歪み感です。「Clipper」を使いベースをいくつかの設定を試してみました。
「Clipper」を適用する前の音はこちら。
設定例1
まずは少しだけ歪みませる設定を試します。
設定値
PEAKステージのCEILINGの値は -3.9に設定。歪んでいるのが若干分かる程度です。
設定例2
次は、歪みがかなり顕著に現れるくらいに適用しました。
少しファズにも近いような過激に歪んでいる印象に設定。ロックやHardcore Technoなどにもフィットするかなと思います。
設定例3
最後に、かなり歪ませた設定を試します。
PEAKステージのCEILINGを -14に設定。悪そうな(?)雰囲気を持ったサウンドを目指しました。
グランジやMUSEのような3ピースバンドでベースが特徴的なサウンドを担う楽曲などでも使えそうです。
今回試した3パターンはあくまでも一例で、Softubeの「Clipper」は細かく緻密にサウンドメイクできるのが魅力です。プリセット数は多くないですが、今後追加されていくような印象も受けます(プリセットのインポート機能やソート機能が充実しているため)。
歪み系のプラグインとして使うことが目的なら是非一度デモ版で体験してみるのがおすすめです。
かなり細かく音作りができるので面白いと思います。RMSステージのANALOG COLORも活用してみてください。
まとめ
クリッパープラグインは多くのメーカーから様々な種類の製品がリリースされていますが、この「Clipper」は数ある製品の中でも、細部まで調整&コントロールできるクリッパープラグインだと思いました。
まさに分析的かつ緻密な設定ができ、大味なクリッパープラグインではちょっと物足りない。と感じる方には特におすすめです。他のクリッパープラグインをすでに持っている場合でも持っておきたいクリッパーじゃないかなと思います。
クリッパーを使いこなすには、継続してクリッパーに対する勉強や鍛錬が必要だなと改めて感じさせられました。
ですが、使ってみて良くわからなかったらまずはプリセットを使えばOK。収録されているプリセットが優秀なので問題ありません。
プリセットの設定から始めて、感覚的に調整していくだけでも明らかな変化を感じられます。
まずは、このClipperに限らず、少しずつクリッパープラグインというものに慣れていけばいいと思います。
全く使わないという作曲家もエンジニアさんもいるので、使いこなせなくても落ち込まなくてもいいです。好奇心を持って使ってみて、ハマりがよかったら導入すればいいのではないでしょうか。
自分が書いた曲をより理想に近づけるためにも試行錯誤試していきましょう!
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プラグイン仕様・システム要件
【MAC】macOS Big Sur 11, Monterey 12, Ventura 13
【WIN】Windows 10 (64-bit), Windows 11
Softube アカウント及び iLok アカウントが必要です
プラグインフォーマット:AU, VST, VST3 and/or AAX 対応 DAW
>> デモ版のダウンロード
過去のセール価格
セール履歴
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【開催ショップ】プラグインブティック
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